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補中益気湯はアトピー体質に効くの?アトピー性皮膚炎に対する漢方治療(補中益気湯を用いた多施設共同二重盲検プラセボ対照試験(RCT))

「アトピーに漢方って効くの?」
そんな疑問に答えてくれる、興味深い研究があります。

日本の複数の医療機関で、アトピー性皮膚炎の人の中でも“気虚(ききょ)体質”の方を対象に、補中益気湯という漢方薬の効果を調べた研究です。
しかも、薬と偽物(プラセボ)を比べる、かなり厳密な方法で行われました。

■ どんな研究?

  • アトピー性皮膚炎(AD)+気虚体質の方 91名が参加
  • 補中益気湯 or プラセボを 24週間(約6ヶ月) 内服
  • ふだん使っている塗り薬(ステロイド・タクロリムス・保湿剤)は継続
  • 「皮膚の状態」「塗り薬の使用量(TEA: total equivalent amount)」「悪化率(外用薬使用量が50%以上増加)」などをチェック

■ わかったこと

◎ 塗り薬の量の増加を抑えた

補中益気湯を飲んだ人は、
外用薬の量がほとんど増えませんでした。

一方、プラセボの人は塗り薬が必要になる量が増える人が多く、
両者にははっきりと差が出ました。

◎ 悪化を防ぐ力があった

  • 補中益気湯:悪化した人 3%
  • プラセボ:悪化した人 18%

悪化をぐっと抑えられる可能性がある、という結果です。

◎ 安全性は良好

軽い胃腸症状などはありましたが、
安全性に大きな問題は見られませんでした。

外用薬のTEAは、プラセボ群で有意に増加したのに対し、補中益気湯群では増加は最小限であり有意差が認められました(P<0.05)。皮膚重症度スコア自体は両群間に統計学的有意差はありませんでした。著効率は補中益気湯群19%(7/37)、プラセボ群5%(2/40)(P=0.06)。悪化率は補中益気湯群3%に対し、プラセボ群18%で有意差を認めました(P<0.05)。副作用は軽度の消化器症状などであり、両群間に有意差はありません。

■ 一言でまとめると

補中益気湯は、「気虚タイプ」のアトピー性皮膚炎の方にとって、
普段の治療をサポートしてくれる可能性がある漢方薬である。

皮膚の状態だけを見ると大きな差はなかったものの、
「悪化しにくい」「塗り薬を増やさずに済む」という点で意味のある結果が出ています。


■ こんな方に向いている可能性

  • 疲れやすい
  • 風邪をひきやすい
  • 胃腸が弱い
  • 声がかすれやすい
  • 気力がわかない

(いわゆる「気虚(ききょ)」のサインがある方)

もちろん自己判断は禁物なので、
漢方に詳しい医師に相談しながら治療を進めるのがおすすめです。


■ 元になった研究

Kobayashi H, Ishii M, Takeuchi S, et al.
Efficacy and Safety of Hochu-ekki-to in the Long-term Management of Kikyo Patients with Atopic Dermatitis.
Evid Based Complement Alternat Med. 2010.